風力・太陽光で自家発電 宮城・加美の建設業者

宮城県加美町の建設業「佐藤工務店」が、道路工事の現場事務所の電力を自然エネルギーで賄う独自の節電対策に取り組んでいる。風力と太陽光による電力を室内外の照明などに生かし、大半を自給する。非常用電源としても注目されている。
 登米市東和町の三陸自動車道の建設現場近くに構えた事務所敷地内に7月、小型プロペラや太陽光パネル2枚を備えた発電装置「ハイブリッド・スマートデバイス」(高さ6.5メートル)1基を設置した。
 生み出した電力は装置に内蔵されている蓄電池に蓄え、延長コードを経由して事務所に供給する。出力は1260ワットで、設置費用は300万円。付属の発光ダイオード(LED)照明は、街灯として利用している。
 災害などで停電しても、蓄電分を街灯や携帯電話、パソコンといった通信機器の電源などに生かせる。
 佐藤敦社長(33)は「事務所で使う電力はほぼ自力で賄える。災害時には住民に開放し、被害情報などの受発信に役立てたい」と語る。
 装置は、馬渕工業所(仙台市太白区)が開発した。同社と佐藤工務店がともに一般社団法人「持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会」の会員企業だった縁で、導入された。
 装置は移動可能で、避難所や学校、公園などにも設置できる。佐藤工務店は、登米市の工事が来年3月で終了した後も、別の現場事務所で活用する考えだ。

河北新報 2011年09月09日金曜日 朝刊掲載